シェルターには、エイズ陽性の猫がいます
シェルターでは、ウイルス検査を行った上で、エイズの子も出来る限り、ケージではなくフリーで生活させることにしています
一部の部屋で、エイズの子とそうでない子が一緒に生活しています
このことで、感染を懸念する質問を頂くことが度々ありました
当シェルターのエイズ感染猫の飼育についての考え方をご説明します
ご指摘の通り、同居の場合、エイズウイルスの感染リスクがあります
そのことも承知しております
しかしシェルターでは、感染リスクよりも、猫のストレス軽減を重視した飼育環境を優先させることにしました
当初、エイズ陽性の子を受入れた際、その子達をケージで生活をさせていました
エイズの子は譲渡が進まない子が多く、長い子は1年以上、ケージから出ないで生活をしていた子もいます
次第に、彼らが何のためにここで生活しているのかと疑問を持つようになりました
寒くない場所で飢えなければそれでいいのかと言われれば、首を楯には振れません
短い期間で新しい飼い主さんに出会うことができる子は、シェルターにいる期間、ケージで生活するのもいいでしょう
しかしどこのシェルターの子もそうでしょうが、縁遠い子もいます
年齢や傷病等、シェルターの取り組み方で差もあります
そういう子は、生涯ケージで過ごさねばならないのか
彼らが生きてゆく楽しみはどこにあるのかを考えました
エイズについて調べました
『 同居、グルーミング、トイレの共有などでは、可能性はゼロではないものの、感染しにくいようです。猫は室内では咬み合うような喧嘩をしないこととも多少関係するようです。感染の経路は、したがって傷口が主体であると思われます。 』
『 感染から8週までに抗体が陽性となります。 』
(石田卓夫氏「猫ウイルス病公式サイト」)
その一方で、かかりつけの医師からは、同居は感染リスクがあることも口説く言われています
エイズウイルスを正しく調べるためには、8週間を待って血液検査を再度、行う必要があります
そこまで行って隔離すべきなのか…
これまで猫を預かってゆく中で、エイズよりも、環境の変化やストレスで、体調を狂わせてゆく子がいました
またケージで生活する子と、しない子では表情も違います
ここは彼らの生きる手助けのためのシェルターです
まずは彼らが心地よい生活が出来なければ意味はありません
すべての環境を整えることができない現状のシェルターで、同居させることを決断しました
同居は、老猫、投薬等治療中の子、訳ありで隔離がされている子になります
里親希望の場合には、再度検査をしてお届けします
以上、シェルター見解をお伝えさせていただきます
ご自身でご判断のほど、よろしくお願い申し上げます
2016年2月 シェルター管理人 記